今回初めて佐賀県鹿島市の鎮守神社の面浮立(めんびりゅう)の撮影に行きました。
午前8時前に現地に到着するため自宅を6時に出発。九州高速道・嬉野ICで降りてから30分で鎮守神社近くに到着。すでに50名位のカメラマンが集まり、熱気ムンムン状態でした。この日は午前中は近くの3神社(戸口神社・鎮守神社・天子神社)午後からは祐徳稲荷神社で伝承芸能フェスティバルが行われるので場所を移る人が多いようです。
9時から始まった面浮立は神社前の道で行われた道行、10時過ぎからは鎮守神社境内での面浮立を撮影し、帰りは近くの道の駅・鹿島で遅い昼食を食べ、帰り道の嬉野温泉で日帰り温泉に入り帰宅しました。
鹿島市は面浮立をはじめ、伝承芸能の宝庫で佐賀県で最多を誇る伝承芸能の数は約80近くあり、その中でも、面浮立は佐賀県を代表する伝承芸能であり、鹿島市の七浦地区に最も多く伝承されてるそうです。特に母ヶ浦面浮立と音成面浮立は佐賀県の重要無形民俗文化財の指定を受けています。    (福永攻治)          
 撮影:2012年9月9日    撮影機材:ニコンD800、レンズ50-200mmf2.8  手持ち
 西塩屋の面浮立 鎮守神社道行
面浮立(め ん ぶ り ゅ う)
(起源)
色んな説があるそうで『戦国時代、敵国(山口の大内氏あるいは豊後の大友氏)に攻め込まれ劣勢であった龍造寺軍が、家臣の発案でシャグマの毛と鬼面を被り鉦や太鼓の音に合わせ夜襲をかけたところ、その異様な姿に敵の馬が驚き敗走となり龍造寺軍は大勝利をおさめることができた。その戦勝祝いの席でそのままの姿で舞い踊ったのがはじまりだそうです。
【伝承芸能の宝庫】
佐賀県内でもとりわけ鹿島市には郷土芸能の団体数と種類が多いと言われ、この「面浮立」のほか、「鉦浮立」「一声浮立」「獅子舞」「獅子浮立」「綾竹踊り」などが概ね集落単位に伝承され今日に至っており、古くから保存会組織を作って伝承・披露のための稽古に努めているそうです。七浦地区には、地区を構成する12集落のうち、実に11集落に伝承芸能の保存会があり、このうち音成区に伝わる「音成面浮立」、母ケ浦区に伝わる「母ケ浦面浮立」はともに佐賀県重要無形民俗文化財の指定を受けています。「面浮立」は一般的に40~50人を要し、笛・太鼓・鉦の音に合わせてダイナミックに踊る芸能です。

佐賀県を代表する『面浮立』は『音成(おとなり)面浮立』の流れを持つものと、洗練された鬼面芸として完成された芸と構成からなる『母ヶ浦(ほうがうら)面浮立』の流れを持つものとに大きく分けられます。
音成面浮立は衣装が濃紺一色で帯と太鼓のひもが黄色でアクセントになり、所作が直線的な動きが多いのに対し、母ヶ浦面浮立は衣装が波と碇の華やかな模様の衣装を着け、所作が複雑で洗練されたものになっています。音成面浮立と母ヶ浦面浮立は、いずれも佐賀県の重要無形文化財に指定されています。
平成24年度 七浦秋祭り
■8月19(日)
「山浦面浮立」  山浦天満宮 16:00頃~

■9月9日(日)
「飯田の面浮立」     戸口神社  8:00~11:00
「母ヶ浦の面浮立」ほか 鎮守神社  9:00~12:00
「音成の面浮立」     天子神社  10:30~12:00
  

■9月9日(日) 
第15回かしま伝承芸能フェスティバル 祐徳稲荷神社 12:30~

■9月23日(日)
「浅浦の面浮立」 救世神社ほか 8:30頃

  お問合せ先:七浦公民館  佐賀県鹿島市大字音成    電話番号 0954-62-8325 
 JR長崎本線肥前七浦駅から徒歩5分(天子神社)
 道の駅鹿島が『かしま面浮立満喫ツアー』を実施。3つの神社間に加え、
 伝承芸能フェスティバル会場である祐徳稲荷神社を結ぶシャトルバスが運行。
[主催者連絡先]
◆鎮守神社:佐賀県鹿島市大字音成戊1986番1
鎮守神社は芸能的に完成された華やかな踊りが特徴的な「母ヶ浦面浮立」ほか数箇所の面浮立や「一声浮立」が奉納されます。

12日は、戸口神社では飯田面浮立、天子神社では音成面浮立、鎮守神社では母ヶ浦面浮立などが奉納され音成浮立と母ヶ浦浮立は県文化財に指定されています。また12日は12時から、かしま伝承芸能フェスティバルが祐徳稲荷神社にて開催。
チワメキ を先頭に鎮守神社への道行
 『烏毛(とりげ)』は大名行列の一部を模したものと考えられますが、先に麻の毛のついた長い棒(烏毛)を2人1組で受け渡しながら踊るものです。衣装は音成の場合はかねうちと同じですが、母ヶ浦では大名行列の奴(やっこ)のような衣装をつけています。
 チワメキ  烏毛(とりげ)
 母ヶ浦は手の振りや所作がしなやかになり、演技自体も複雑で洗練されたものになっています
 
『かねうち』は女性2人1組で10人(5組)前後で出演します。1つの鉦を2人で持ち、拍子に合わせて2人同時に鉦をたたきます。衣装は、赤い襦袢の上に青い前だれを付け、その上に浴衣を着流します。そして頭に花笠をかぶって、手ぬぐいで顔をおおっていることが特徴です。『大太鼓打ち』は男性1人です。名前のとおり、大太鼓を打つ係です。衣装は鬼と同じですが、頭にかねうちと同じ花笠をかぶります。『笛吹き』も名前のように笛を吹く係です。男性数人で構成します。衣装は羽織(はおり)、袴(はかま)を着ています。
 
 西塩屋の面浮立  鬼が神前に乗り込むまでの道中を奉願道(ほうがんどう)といいいます

母ヶ浦(ほうがうら)の面浮立は、毎年9月の第2日曜日に七浦母ヶ浦の鎮守神社の秋祭に奉納されている面浮立です。
出演者は鳥毛8名・笛の役5名・鉦打ち12名・大太鼓1名・かけうち12~15名で、他に奉行1名と頭取5名が付きます。鳥毛は鉢巻に手甲・脚絆をつけ、わらじ履きの奴姿。かけうちは波に碇綱(いかりつな)模様の法被(はっぴ)を着て、紅白のねじり糸の襷がけ白股引に黒脚袢、白足袋にわらじ履きで、手甲をつけます。黄色の布でモリャーシを腹部につるし、両手にバチを持って、シャグマをつけた鬼面をかぶります。笛の役は裃(かみしも)を着た陣笠姿で、鉦打ちは花笠をかぶって口を手拭いで覆い、浴衣を着流して下着の裾を出し、黄色の襷を垂らします。
曲目は「奉願道」「神の前」「かんたん」「村わたし」「新ぶりゅう」「みつがさね」「ちょくばやし」「ちりりん崩し」「まつばやし」の9曲で構成されます。
鹿島市を中心として分布する面浮立は、大地に踏んばる力足、虚空に描く力み手を主体とする悪霊鎮圧的な性格を有する芸能とされますが、母ヶ浦の面浮立は踏み歩みを主体とする勇壮な面浮立の代表的なものとされています。

母ヶ浦は波といかりの華やかな模様の衣装になっています。
行列の先頭を行く チワメキ 
「かねうち」は女性で2人1組で、1つの鉦を2人で持ち赤い襦袢の上に青い前だれをつけ、その上に浴衣を着流し、頭に花笠をかぶり手ぬぐいで顔をおおっているのが特徴です。青森のねぶた祭りでおどる(「ハネト)の衣装によく似ていました。
音成面浮立は濃紺(のうこん)の木綿の襦袢(じゅばん)と股引(ももひき)を着て、黄色の帯しめをつけます。母ヶ浦の面浮立などは『波に碇(いかり)』などの模様のついた法被(はっぴ)と白い股引を着ます。
 鎮守神社の母ヶ浦面浮立
鎮守神社の母ヶ浦面浮立
 
 五穀豊穣を祈り、各神社に奉納される踊りで荒竹踊り・鳥毛・掛打の3種からなり、笛・鉦・太鼓の音に合わせて、鬼面に頭部の毛をつけ、腹に太鼓を付けた若者が乱舞します。
 
西塩屋の面浮立


「鬼(かけうち)」は面浮立の主役とも言うべき役割で鬼の面をかぶり、腹に小太鼓をかけて踊り人数はさまざまでです
音成面浮立では、濃紺の木綿の襦袢と股引、黄色のおびしめをつけます。母ヶ浦面浮立では、模様のついた法被と白い股引を着ます。
 
 鬼面芸として完成された芸と構成を持っている『母ヶ浦(ほうがうら)面浮立』
勇壮なる舞い
 チワメキ  かねうち 
面浮立の動画の動画
 鎮守神社の面浮立(めんびりゅう) 撮影2012年9月9日   録画時間7:00